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2013年6月13日 (木)

魂医(ソウル・ドクター)―和合医療―Vol.6


日曜日の山の手線は平日と打って変わって空いている。

新宿から山の手線の青いシートに二人は腰を下ろした。

そして5分もしないうちに、母親は、雨情にぐったりと頭をもたせてきた。

またジョークか、こんなに不思議なジョークを続けるのは初めてだな、
久しぶりのお買いものでママも興奮しているんだな、
でもくっつけて嬉しい。

すべてジョークなんだ。自分を納得させ、
安心した雨情は重い頭を振りのけることなくおとなしく座っていた。

品川を過ぎる。

これみよがしに、イビキまでかきはじめた。
雨情は、しずえの耳に息を吹きかけくすぐってジョークを返す。
反応がない。迫真の演技だ。

東京を過ぎる。

「えっ、降りないの、青い電車に乗り換えないと
ぐるぐる回ってまた新宿にもどっちゃうよ」

むかいの車窓にうつる自分たちの姿はくだらないお笑い番組だ。

神田を過ぎる。
自分の鼻を音をたてて思い切りかいた。
いつもの癖、しずえから鼻血がでてしまうと止められるが、
今日は何の反応もない。

御徒町を過ぎる。

小さな口に小指を突っ込み、薬指を鼻の穴に、
人差し指を下まぶたにかけて、引っ張る。

薄目を開けてみているはずなのに、ママは笑ってくれない。

車内の薄ら笑いに気が付いた。

ママのせいだ。

隣の座席があいたついでに、体をずらした。
ママは糸が切れた操り人形のように倒れて、
二人分の座席を占領していたる。

上野を過ぎた。

来る。

また幻聴がでてきそうな予感を感じた雨情は、
その感覚を吹き払うように

いつまで、ウソ寝を続けてるんだ」

日暮里でドアが開くと、ママを残して飛び降りた。

代わりに一匹の蛾が飛び込んできて、
ママのまわりを凱旋したとたん、
お腹に差し込まれる痛みを感じた。

蹲りそうになりながら、電車に再び乗り込もうとするが、
ドアーが閉まる。

電車は容赦なく、母親を運び去っていく。

行かないでママ!

荷物を放り投げ、電車を追いかける。

ピッピッピッピッ、、ガシャッ、駅員の鳴らす警笛と
顕微鏡の袋を落とし、使う前の宝物がクラッシュ音が同時になった。

喧騒を無視して電車は力強く走りだした。


つづく、、、

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